今回のH-IIA F35は2年前のH-IIB F5の検証ということで登りましたが、
上空は快晴でしたが、水平線から2度くらいのところはもやっていたため、
結果的に写真判読からもロケット雲らしい物は得られませんでした。
冬場に見られる夜光雲も発生するのではないかと思い、
日没まで観測をしましたが、やはりそれらしい雲は見られませんでした。
では、なぜ見えなかったのか?
ということで、ロケッこ分身の術で種子島にも足を伸ばして、
前回F32と同じような構図でロケット雲がどのように広がったのか分析してみることにしました。
その動画が下になります。
※カメラの設定時刻が3分ほどズレています
これを見ると、F32とは全く広がり方が違うようです。
F32では、全体的に西風に乗って雲が東方向へ流される様子が映っていましたが、
今回のF35では、ほとんど種子島上空、つまり、西方向へ戻される感じで雲が漂っている様子が観測されました。
前回同様に中層大気の風をCIRA86から入手してみると、
確かに40〜60kmは東風が吹いている様子が見えます。
映像に重ねてみると
うーん、なんか違う形ではありますが、
10kmくらいは少し東、20km位は停滞、
それより上は西に流される点では一致していると言っても良いかもしれません。
ということで、富士山でいくら待ってもロケット雲らしきものを見つけることができなかったのは、
ロケット雲が富士山より遠ざかってしまったから、
という可能性が一つあるのかもしれません。
もしそうだとすると、
夏に関東など東側で遠方観測するのは難しい可能性があるかもしれませんので、
引き続き夏の遠方観測はいろいろ調べていく必要があるかもしれません。
ところで、ロケット的にも途中向かい風を突き進むので、
夏の打ち上げってもしかするとシビアなのかもしれませんね。
過去の雲解析
H-IIA F36の打ち上げ後のロケット雲解析
続夜光雲〜変化の全貌をとらえていた!?