月の見かけの大きさを測る〜その3
- 2011.09.11 Sunday
- 09:59
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月の見かけの大きさを測る
月の見かけの大きさを測る〜その2
続きの記事
月の見かけの大きさを測る〜その4 中秋の名月
参考
満月の出は大きく見えるのか?
お月様ブームか月の大きさで過去の記事が
検索に引っかかっているようなので補足を兼ねて図解を載せてみました。
過去の記事の写真だけでは1%の大きさの違いなんて分からない!
と思う方もいらっしゃるかもしれないので(正直自分が納得していないのかも・・・)、
卓上計算で、求めていきます。
クリックで拡大します。
まず基本情報から
ここでは、
・地球中心から月の中心までは約384,400km(線分EM1)
・地球の半径は約6,300km(線分EO)
・月の半径は約1,700km
とする。
さて、実際に観測者が立って月(点M1,M2)を眺めているのは地球上(点O)なので、
観測者から月の距離(月の出入(線分OM1)と南中(線分OM2))が今回の問題となる。
はじめに、観測者から月の出(入)までの距離(線分OM1)を計算すると
三平方の定理から約384,451kmなので、
地球と月の距離とほぼ同じであると考えてよい。
以降観測者と月までの距離を384,400kmと考えることにする。
次に、南中時の観測者から月までの距離を計算すると、
384,400km-6,300km=378,100kmとなる。
距離だけで考えると、月はおよそ1.6%(地球半径分)くらい
南中時に観測者に近くなるわけである。
つまり、近くなる=見かけも大きくなるはずである。
続いて大きさ(視直径)も計算してみると
Atan(1700÷384,400)×2 = 30.4分
Atan(1700÷378,100)×2 = 30.9分
(↑この式の時点でわざわざ計算しなくても1.6%の違いがあるのだとわかるが・・・)
1-(30.4/30.9) = 1.6%
ということで、卓上で南中の方が1.6%見かけが大きくなると出るわけである。
ただ、肉眼ではこの差は分からないと思いますが・・・。
(違いがわかる人ならわかる?)
さて、実際に1.6%違いを表現した図を書いてみました(クリックで拡大)。
オレンジ色が月の出を表した円、黄色が南中を表した円です。
図だけ見ると、1.6%でも結構違いがありますね。
もう一度南中と月の出を重ねた写真をみてみましょう(クリックで拡大)。
なんとなく、1.6%違うような気がしてきます・・・。
加筆
ごんざぶろうさまからご指摘がありましたとおり、
上の図解では、どこで観測するかが書かれていません。
その点について補足してみます。
その前に、上の図もそうですが、地球と月との位置関係を
・月は地球の赤道面上を公転していて、月の公転軌道は円である
(実際には地球の公転面に対して、月の公転面は5度ほど傾いていて楕円軌道を描いています)
・地平線や大気、立体的な点は無視して考える
(接線とか大気の屈折を考えると話がややこしいので)
と仮定します。
観測点を赤道上(点Oe)、日本付近(点Oj)、極(点Op)として、
まず、出た直後はどれもだいたい同じ(線分OeM1≒線分OjM1≒線分OpM1)となります。
(平面で考えるとおおよそ等しいとなるが、立体的に考えるとすべての点は円錐の底面に沿っているので、
実は全て等しいんですけどね。ここでは立体は無視しているので)
次に南中した時を考えます。
地球の軸からの半径は赤道半径に緯度のCosをかけたものになりますので、
赤道から月までの距離(線分OeM1)は 384,400 - 6,300 x cos(0°) = 378,100km
日本付近(35° 線分OjM2)は 384,400 - 6,300 x cos(35°) = 379,200km
極(線分OpM2)では 384,400 - 6,300 x cos(90°) = 384,400km
(こちらも、立体で考えると、さらにSin方向を取って三平方した方がよいのですけど、
上の方で計算しているとおり、全体から見ると誤差の範囲なので、このまま行きます)
となり、その比率はそれぞれ、1.6%、1.3%、0%という結果が出る。
この結果は、ごんざぶろぐさんが書かれている、
日本付近では1%ちょっとであるという結果と一致している。
これなら(↑1%で作った場合)、写真とほぼ同じ感じかな
続きの記事
月の見かけの大きさを測る〜その4 中秋の名月
続きの記事でも書きましたが、
この1%の違いにより、金環皆既日食(Hybrid Eclipse)という珍しい日食が起こります。
参考
将来の金環皆既日食
追記20130504
金環皆既日食にHybrid Eclipseという英語表記を追記しました。
2013年に観測される金環皆既日食(Hybrid Ecripse)のデータ
http://eclipse.gsfc.nasa.gov/SEgoogle/SEgoogle2001/SE2013Nov03Hgoogle.html
http://eclipse.gsfc.nasa.gov/SEplot/SEplot2001/SE2013Nov03H.GIF
月の見かけの大きさを測る
月の見かけの大きさを測る〜その2
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月の見かけの大きさを測る〜その4 中秋の名月
参考
満月の出は大きく見えるのか?
お月様ブームか月の大きさで過去の記事が
検索に引っかかっているようなので補足を兼ねて図解を載せてみました。
過去の記事の写真だけでは1%の大きさの違いなんて分からない!
と思う方もいらっしゃるかもしれないので(正直自分が納得していないのかも・・・)、
卓上計算で、求めていきます。
クリックで拡大します。
まず基本情報から
ここでは、
・地球中心から月の中心までは約384,400km(線分EM1)
・地球の半径は約6,300km(線分EO)
・月の半径は約1,700km
とする。
さて、実際に観測者が立って月(点M1,M2)を眺めているのは地球上(点O)なので、
観測者から月の距離(月の出入(線分OM1)と南中(線分OM2))が今回の問題となる。
はじめに、観測者から月の出(入)までの距離(線分OM1)を計算すると
三平方の定理から約384,451kmなので、
地球と月の距離とほぼ同じであると考えてよい。
以降観測者と月までの距離を384,400kmと考えることにする。
次に、南中時の観測者から月までの距離を計算すると、
384,400km-6,300km=378,100kmとなる。
距離だけで考えると、月はおよそ1.6%(地球半径分)くらい
南中時に観測者に近くなるわけである。
つまり、近くなる=見かけも大きくなるはずである。
続いて大きさ(視直径)も計算してみると
Atan(1700÷384,400)×2 = 30.4分
Atan(1700÷378,100)×2 = 30.9分
(↑この式の時点でわざわざ計算しなくても1.6%の違いがあるのだとわかるが・・・)
1-(30.4/30.9) = 1.6%
ということで、卓上で南中の方が1.6%見かけが大きくなると出るわけである。
ただ、肉眼ではこの差は分からないと思いますが・・・。
(違いがわかる人ならわかる?)
さて、実際に1.6%違いを表現した図を書いてみました(クリックで拡大)。
オレンジ色が月の出を表した円、黄色が南中を表した円です。
図だけ見ると、1.6%でも結構違いがありますね。
もう一度南中と月の出を重ねた写真をみてみましょう(クリックで拡大)。
なんとなく、1.6%違うような気がしてきます・・・。
加筆
ごんざぶろうさまからご指摘がありましたとおり、
上の図解では、どこで観測するかが書かれていません。
その点について補足してみます。
その前に、上の図もそうですが、地球と月との位置関係を
・月は地球の赤道面上を公転していて、月の公転軌道は円である
(実際には地球の公転面に対して、月の公転面は5度ほど傾いていて楕円軌道を描いています)
・地平線や大気、立体的な点は無視して考える
(接線とか大気の屈折を考えると話がややこしいので)
と仮定します。
観測点を赤道上(点Oe)、日本付近(点Oj)、極(点Op)として、
まず、出た直後はどれもだいたい同じ(線分OeM1≒線分OjM1≒線分OpM1)となります。
(平面で考えるとおおよそ等しいとなるが、立体的に考えるとすべての点は円錐の底面に沿っているので、
実は全て等しいんですけどね。ここでは立体は無視しているので)
次に南中した時を考えます。
地球の軸からの半径は赤道半径に緯度のCosをかけたものになりますので、
赤道から月までの距離(線分OeM1)は 384,400 - 6,300 x cos(0°) = 378,100km
日本付近(35° 線分OjM2)は 384,400 - 6,300 x cos(35°) = 379,200km
極(線分OpM2)では 384,400 - 6,300 x cos(90°) = 384,400km
(こちらも、立体で考えると、さらにSin方向を取って三平方した方がよいのですけど、
上の方で計算しているとおり、全体から見ると誤差の範囲なので、このまま行きます)
となり、その比率はそれぞれ、1.6%、1.3%、0%という結果が出る。
この結果は、ごんざぶろぐさんが書かれている、
日本付近では1%ちょっとであるという結果と一致している。
これなら(↑1%で作った場合)、写真とほぼ同じ感じかな
続きの記事
月の見かけの大きさを測る〜その4 中秋の名月
続きの記事でも書きましたが、
この1%の違いにより、金環皆既日食(Hybrid Eclipse)という珍しい日食が起こります。
参考
将来の金環皆既日食
追記20130504
金環皆既日食にHybrid Eclipseという英語表記を追記しました。
2013年に観測される金環皆既日食(Hybrid Ecripse)のデータ
http://eclipse.gsfc.nasa.gov/SEgoogle/SEgoogle2001/SE2013Nov03Hgoogle.html
http://eclipse.gsfc.nasa.gov/SEplot/SEplot2001/SE2013Nov03H.GIF
観測地の緯度を考えると、EOに緯度のCOSをかけるので、大雑把に「1%強」としていました。
確かに、観測者の緯度も関係しますね。
補足してみましたが、こんな感じでしょうか?
こうやって図解すると、わかりやすいですね。
ちょうど中秋の名月だったので、勝手ながらTwitterでもこの良記事を紹介いたしました。
良い天気でしたので、もう一度やってみました。
今度はgifアニメでドーンと出てくる感じがわかりやすいかと思います。
http://blog.syo-ko.com/?eid=1233
>この1%の違いにより、金環皆既日食という珍しい日食が起こります。
は誤りです。
この記事で問題にされている1%の見掛けの変化はあくまで同じ日の月の出と南中時の変化であり、それ以上に月の地心距離は大きく変化しているために、皆既日食や金環日食が起こるのであります。
平均地心距離約38万キロに対して最近と最遠では4万キロも変化しますので、見掛けの大きさも10%近く変化しています。
確かに、金環日食、皆既日食のそれぞれに対しては、ご指摘通り最近と再遠で起こる現象になります。
しかし、世の中には「金環皆既日食」という、同じ日に金環日食、皆既日食が同時に起こる現象があり、
これは上にある1%の違いが作り出す日食となっております。
上にもありますが、下記URLが図付きで参考となるかと思いますので、どうぞ。
http://eclipse.star.gs/dic/hybrid.htm
ちょうど今年、2013年11月に起こるとされる日食はこの金環皆既日食となります。
前回の2005年はかろうじて環移点が陸上(島)であったので見られたようですが、今回は環移点が海上であるため、見るのは難しいと言われています。